『ドリルを売るには穴を売れ』はこんな人におすすめ!
- マーケティングについてのわかりやすい本を探している。
- 商品が売れなくて悩んでいる人やもっと売上を伸ばしたい。
- マーケティング本といえばコレ!みたいな代表的な人気の1冊を探している。
『ドリルを売るには穴を売れ』の要約を一言で言うと「マーケティングを効率よく学べて、仕事に活かす方法がわかる本」です。
マーケティングとは、お客様に商品・サービスを売るために必要となる考え方のこと。
そんなマーケティングをとにかく噛み砕いて噛み砕いて、4つの重要な理論をピックアップ。
それをさらにストーリー仕立てで解説したのが、この本の特徴です。
書評も一言で言ってしまうと
とにかくわかりやすく、清々しいストーリーとともに「スルッと頭にマーケティング知識が入る本」です。
本書を読むことで
- マーケティングの基礎がシンプルに理解できる。
- 明日から仕事の中、日常の中でマーケティング力を鍛える方法がわかる。
この2点が身に付く本となっています。
より詳しい要約と実践方法を解説していきます。
この記事の内容
- 『ドリルを売るには穴を売れ』のポイントをざっくり要約
- 『ドリルを売るには穴を売れ』で解説されている4つのマーケティング理論
- 私たちビジネスマンが、マーケティング力を鍛える・仕事に活かす実践方法。
この記事を書いた人「つっき」について
- 年間50冊以上のビジネスに関する本を読む。
- サラリーマンをしながら副業を5年間継続中。
- ブラックな働き方から自己改善→残業0・土日祝長期休暇完全休み・年間有給取得20日を達成
- サラリーマン→独立→FIRE生活に向けて日々勉強&実行中。
「ドリルを売るには穴を売れ」の基本情報
著者 | 佐藤義典 |
出版社 | 青春出版社 |
発売日 | 2007年1月10日 |
言語 | 日本語 |
Amazon販売価格 | 紙書籍版:1,572円 |
ページ数 | 256ページ |
読み終わるまでの時間 | 約70分程度 |
著者:佐藤義典さんについて
著者の佐藤義典さんは「マーケティング脳トレーナー」を名乗るマーケティング理論のプロ。
NTTでのマーケティング経験を活かし、アメリカの大学でMBAを取得。
多くのトップ企業や有名業界のマーケティングコンサルを務めています。
その業界は大手化粧品メーカーから大手航空会社など…とにかく多岐に渡ります。
現在では「ストラテジー&タクティクス」経営コンサルティング会社の代表取締役をしながら、多くの書籍を販売しています。
マーケティングというと概論とか論文とかわかりにくいイメージがありますよね。
そんなマーケティングについて、ストーリーや本質的な言葉のみに噛み砕いて、わかりやすく伝える本を出版しています。
佐藤義典さんの他の書籍
新人OL、つぶれかけの会社をまかされる
新人OL、社長になって会社を立て直す
お客様には嬉しさを売りなさい。 他
そんなマーケティングのプロ中のプロが、マーケティングを初めて学ぶ人に向けた本が『ドリルを売るには穴を売れ』です。
マーケティングの教科書としてずーっとおすすめされる人気本
『ドリルを売るには穴を売れ』は「マーケティング本といえばコレ!」みたいな感じで、多くの人に紹介・おすすめされています。
発売から10年以上経った今でもなお、人気を維持し続けるマーケティング解説の鉄板本です。
ちなみに私がこの本を買おうと思ったきっかけは、先日youtubeでビジネス系の動画を流し聞きしていた時。
ブロガーでyoutuberのマナブさんがこの本をマーケティング本のおすすめとして紹介していたからです。
ビジネスマンだけでなく、ブロガーや事業主からの支持も厚い1冊です。
『ドリルを売るには穴を売れ」を3つのポイントで要約
本書は全部で6章から成り立っています。
『ドリルを売るには穴を売れ』 目次
序章 “マーケティング脳”を鍛える
第1章 あなたは何を売っているのか?―ベネフィット
第2章 誰があなたの商品を買ってくれるのか?―セグメンテーションとターゲット
第3章 あなたの商品でなければならない理由をつくる―差別化
第4章 どのように価値を届けるか?―4P
第5章 強い戦略は美しい
全体の流れは
「マーケティングに必要な理論の解説→例としてのストーリー」となっています。
今回は本書の内容をざっくり以下の3つのポイントに分けて解説していきます。
本書の3つのポイント
- 普段からマーケティングを意識する。
- これだけでOK!マーケティングの4つの理論
- マーケティングの例:ストーリーと東京ディズニーリゾート
ポイント①普段からマーケティングを意識する。
一言でマーケティングと言っても、その具体的な活動は数多くあります。
本書の中でも、マーケティングとは「顧客に対して売ることに関するすべてのこと」と書かれています。
マーケティング活動の例
- 商品開発
- 店舗開発
- 価格施策
- 販売促進 などなど
さらに一つ一つに細分化すると、さらに多岐に渡ります。
例えば「販売促進」を例に細分化してみましょう。
参考
【販売促進の例】
- チラシ配布→ポスト投函なのか?手配りなのか?さらにどんな人に配るのか?
- ポイントカードの発行→ポイント還元率は?追加で特典を付けるのか?
- POPなどの店頭販促
- 試食や試飲 などなど
このように様々な活動を挙げることができます。
この全てが最終的にお客様に買ってもらうことを目標にしています。
つまりマーケティングとは「買ってもらうことをゴールとして、ゴールに着くまでの道筋を作ること」とも言えます。
ではどうやってゴールに至るまでの道筋を作れるようになるのでしょうか?
それを本書では「マーケティング脳」を鍛えることだと解説しています。
マーケティング脳とは
「商品を見た時に裏側にあるマーケティング活動を感じ取り、ヒントをつかむ思考」
だと著者は述べています。
そのマーケティング脳を鍛えるには、普段からマーケティングを意識することが重要です。
- 例えば何か商品を購入した時、「なぜ自分はこれを買ったのか?」を考えること。
- またCMやチラシなどを見た時に「なぜこんなPR方法をしているのか?」と考えること。
日常生活の中で学ぶネタは無限にあると本書は述べています。
身の周りの様々な商品やサービスからヒントをつかめば、自分のマーケティング活動に活かすことができます。
ポイント②これだけでOK!マーケティングの4つの理論
マーケティングを解説する理論は数多くあります。
その中でも本書では、基本的かつ一番重要な4つの理論に絞って解説しています。
本書で解説されている4つの理論
- ベネフィット=価値
- セグメントとターゲット
- 差別化
- 4P
実際にマーケティングを考える際は、この4つの視点から考える必要があると述べています。
ベネフィット=価値
ベネフィットとは一言で言うと、商品を買うことで顧客が得る価値のことです。
このベネフィットはマーケティングを考える上で、一番重要となる考え方であるとも述べられています。
なぜなら商品を売る前提としてこのベネフィット=価値が、顧客の支払う対価より大きくないと商品は売れないからです。
ベネフィット例題【缶コーヒーで考える】
例えば自動販売機で缶コーヒーを買う時。
顧客は130円という代金(対価)を支払います。
この130円分の対価に見合っていないと、缶コーヒーは売れません。
顧客の中では、130円(対価)を支払ってでも、今コーヒーを飲める(価値)から購入するのです。
この対価とは、単純にお金だけとは限りません。
缶コーヒーでは、同じ商品がスーパーでは90円で売っていたりしますよね。
しかし自動販売機が40円高くても売れるのは、わざわざスーパーに行く手間や時間が省けるからです。
対価はお金以外にも、手間や時間も含めることができます。
機能的ベネフィットと情緒的ベネフィット
このベネフィットの中身は大きく2つの種類に分けることができます。
- 機能的ベネフィット
- 情緒的ベネフィット
機能的ベネフィット
物理的で目に見えやすい、計測しやすい価値のこと。
例)早い、便利、うまい、使いやすい など
情緒的ベネフィット
目にはみえない情緒的な価値、本来の機能とは関係ないことが多い
例)持っていることで優越感を得られる、持っていると他人からのイメージが良い など
売れている商品ほど、この2つのベネフィット(価値)を対価よりも大きく満たしています。
価値を満たすには、人間の三大欲求を満たすこと。
では価値を満たすとは、具体的にどんなことを満たせばよいのでしょうか?
本書の中では、人間の三大欲求を満たせば良いと述べています。
人間の三大欲求
- 自己欲求…自分の中で完結する欲求
- 社会欲求…他人からよく見られたいという欲求
- 生存欲求…生き続けたい、肉体的な快楽を得たい
一度全てを繋げてまとめてみましょう。
まとめ
- 商品の価値は、機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットに分けられる。
- 2つのベネフィットの源は人間の三大欲求である。
- その価値が対価(お金、時間、手間)よりも大きければ商品は売れる。
セグメントとターゲット
セグメントとターゲットとは、一言でいうと商品を販売する対象(人)を絞る作業のことです。
どんな商品も全ての人に販売するのは不可能です。
なぜなら人によって価値観は千差万別だからです。
より効果的な販売につなげるために、「ある特定の層」を狙って、そこに響くマーケティングをする必要があります。
その「ある特定の層」を考える作業がセグメントとターゲットです。
その分け方は、大きく分けて3つあります。
- 人口統計的なセグメント…年齢、性別、居住地域など
- 心理的なセグメント…心理、行動、ライフスタイルなど
セグメントとターゲットはセットで考える
セグメントとともに行うのが、ターゲット設定です。セグメントで抜き出した層をさらに細かく分けます。
本書では以下の3つの基準を出して考えるべきだと述べられています。
ターゲットの3つの基準
- マーケット規模…絞るほど良いがあまりに小さなターゲットはNG
- 競合との優位性…競合が多いか、自社製品の強みは生かせそうか?
- 価値の必要度…その商品価値を必要とする人が多いか?
差別化
差別化とは、一言でいうと「他の競合と比較した時、その商品を選ぶ価値を提供すること」です。
その方法は、大きく分けて3つあると本書で述べられています。
本書の3つの差別化戦略
- 手軽軸…手軽にそこそこのものを安い値段で提供する。
- 商品軸…高品質な商品を提供する。
- 密着軸…顧客の好みにあった商品を提供する。
商品を売り込むには、この3つの軸のうち、いずれかに絞ることが大切です。
4P
4P(フォーピー)とはマーケティングに必要な要素の頭文字をとった略語です。
- Product(製品、サービス)
- Promotiaon(広告宣伝)
- Place(販売チャネル)
- Price(価格)
一言でいうと4Pとは、具体的な商品や販売施策に落とし込む際に、決めなければならない要素のことです。
この4Pを考える際は、先に挙げた3つの理論と合わせて考えて、一貫性を持たせることです。
なぜなら一貫性はないと、効果的なマーケティングは見込めないからです。
例を挙げてマクドナルドで考えてみましょう。
マクドナルドのマーケティング
- ベネフィット=すぐに食べられる、待たない、安い、そこそこ美味しい。
- ターゲット=ファミリー層や若者層
- 差別化=手軽軸
- Product(製品、サービス)→すぐにできるハンバーガーやポテト
- Promotiaon(広告宣伝)→新商品発売のCMやアプリでのクーポン発行
- Place(販売チャネル)→駅前や一通りが多い場所に立地した店舗・ドライブスルー
- Price(価格)→安い
たとえばここに、以下のようなメニューを追加します。
- 味は美味しくて1,000円を超える高単価なメニュー
- 美味しくても調理に時間がかかるようなメニュー
とたんにそのメニューは、マクドナルドの提供する価値や狙いたいターゲットから外れるので売れないです。
非常に極端な例を挙げましたが、これに近いようなことをしている商品やサービスはたくさんあります。
マーケティングはこういった一貫性からのズレを見つけて、より効果的な販売につなげる作業とも言えます。
ポイント③マーケティングの例:ストーリーと東京ディズニーリゾート
本書の3つめのポイントは、わかりやすいマーケティングの事例として
- ストーリー…イタリアンレストランを立て直す物語
- 第5章…東京ディズニーリゾートの収益モデル
この2つの事例が紹介されており、その事例を元に学べることが多い点です。
ストーリーは「1からマーケティングを考える際」の事例として。
東京ディズニーリゾートは「目指すべきマーケティングのお手本」となる事例として。
それぞれ紹介がされています。
どちらもマーケティングの4つの理論に基づいて作られており、本書では
強い戦略は美しい。
という言葉で表されています。
今後マーケティングを考える上での参考になる内容として、ポイントに挙げました。
私たちビジネスマンが実践したい内容
①普段からマーケティングを意識する。
最初に取り組みたいのは「普段の生活の中でマーケティングを意識すること」です。
なぜなら頭の中で一番手軽にできて、マーケティングのネタをストックすることができるからです。
具体的には以下の2点について考えます。
- 自分が利用した商品・サービスについて「どうして買ったか?」を考えること
- 自分が利用しなかった商品・サービスについて「どうして買わなかったか?どうしていたら買ったか?」
思わず無意識に買ってしまった商品に対して
「自分はどんなところに惹かれて買ったのかな?」と見直してみる。
例えばパッケージのキャッチコピーに惹かれたなら、どんな点で惹かれたのか?
こういった点を思いつく範囲で掘り下げて考えてみます。
このマーケティングに関して敏感になることが、まず重要です。
マーケティング活動になるネタの引き出しを増やすことができます。
②実際の自分の商品にマーケティングを当てはめてみる。
次に自分が実際に取り扱っている商品を、マーケティング理論に当てはめて考えてみましょう。
ただし実際のビジネスシーンでは、1から商品を作り直すといった場面は少ないのではないでしょうか?
本書の例では、レストランを立て直すストーリーが出てきます。
完全にゼロベースと言えなくても、ある程度1から考え直したり、任される事例が挙げられています。
しかし実際のビジネスシーンでは
「今ある既存の商品を、何とかして売れる方法を考える」ということが求められることが多いと思います。
そこでおすすめしたいのは
今ある商品のマーケティングの中で、美しくない部分を探すという考え方です。
なぜ売れないのか?=原因は美しくない部分を探す。
もう少し具体的に解説すると、
「マーケティングの中で一貫性がない、おかしな部分を改善すること」です。
参考
具体例を挙げると、あなたが飲食店の責任者となったと仮定します。
その店舗のお客さんは多くが40代~60代以上の高齢者です。
地元に密着していて、多くは半径5km圏内の近隣から来店されるとします。
付近の人口は減っていないのに、なぜか5年前から客数が落ちています。
そこで、その飲食店の実際のマーケティング活動を見てみると
- スマホアプリでの販売促進をしていたり…
- 回転率を上げるために、ファーストフード的なメニューを増やす。
- ボリュームランチやワンコインランチに力を入れている。
などを行っていました。
なぜ売上があがらないのでしょうか?
非常に極端な例ですが、マーケティングに一貫性が無い例として挙げました。
元々のターゲットと、マーケティングが合っていないため、効果が少なくむしろ既存のお客さんを逃してしまっています。
本書の中で、強いマーケティング戦略は「一貫性があり、美しい」と述べられています。
「なぜ売れないのか?どうやったら売れるのか?」を考える時に、こういったおかしな点を見つけ、その修正を行うと良いでしょう。
【まとめと感想】『ドリルを売るには穴を売れ』
『ドリルを売るには穴を売れ』の重要ポイントの要約として、以下の3つを紹介しました。
本書の3つのポイント
- 普段からマーケティングを意識する。
- マーケティングの4つの理論の解説
- マーケティング活用のわかりやすい例題
感想として驚いたのが、本書がもう10年以上前の本だということです。
わかりやすいストーリーや重要なポイントを簡潔に伝える内容など…
むしろ最近の本で流行っているような内容にまったく古さはありません。
この本が、今なおマーケティングを学ぶのに読むべき鉄板本として各方面で紹介されている理由も読んでみてわかった気がします。
わかりやすいポイント解説とストーリーを読み終わると
「明日からマーケティングを意識してみよう。」と思わせてくれる1冊です。